さて、二日目は朝、ポスターと火山がらみの地震のセッションに参加して、午後からはグーテンベルクレクチャーというAGUの地震部門の看板セミナーでした。
スピーカーはレイ先生。地震学の教科書などで知られる人です。冒頭にKei Aki Young Scientist Awardの発表があり、今年はミュンヘン大学のPhDが受賞しました。近代地震学の確立者の一人、安芸敬一の名前を冠した博士号取得三年以内の人に送られる賞です。
Modern Global Seismology, Volume 58 (International Geophysics)
- 作者: Thorne Lay,Terry C. Wallace
- 出版社/メーカー: Academic Press
- 発売日: 1995/05/15
- メディア: ハードカバー
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
ちょっと気になったのが、冒頭、レイ先生が過去100年の地震とグーテンベルクの簡単な経歴とご自身の経歴を並べて、特に80年代の解析理論や観測網の整備など地震学の発達が目覚しかったこと、一方で巨大地震は起こらずその意味で"Dark days"であるとしたこと。個人的にはあまり賛同できる表現では有りませんでした。今回の東北地方太平洋沖地震がらみのセッションで事あるごとに
"間違った地震に対する誤ったリスク評価"
とさんざんいじめられる日本の地震コミュニティの哀愁を考えるといささか呑気すぎる言い回しだと思いました。少ない犠牲者で輝かしい科学的業績が打ち立てられたのだから個人的には"Glory days"が妥当であると進言しようかと思ったのですが、一つ間違えると会場が静まりかえるリスクもあるし、大会場で世界中の専門家に向かってバカ全開するわけにもいかず、踏みとどまりました(←違)。しかし、日本の地震学者ではそれくらい堂々と馬意見表明する人はいなかったのでしょうか。個人的には世界の地震学関係者共通の問題でもあると思うのですが。
さてさて、そんなこんなでレクチャーも終わりに近付いた折、座った前をよく見たらお世話になっているS先生が。3年ぶりです。この広い会場でこれだけ近くに偶然すわっているようなシチュエーションがありうることがこうした学会の面白いところというものです*1。その時はご挨拶しそびれたのですが、レクチャーが終わって移動した次のセッション会場前で偶然お会いして、ちゃんと挨拶することができました。明日はその先生とミーティングなので、今準備しているところです。
会場はこんな感じです。
*1:まぁ、僕のこの発想はいささか子供じみているのですが…