Kalessin Action ― The Never Ending Endeavour ―

地震・火山専門の研究開発員のブログ。あららぎハカセ(理学)。つくばで高いところに行くモノ🛰の中身を作ってます。

 俺は蓮舫参院議員を支持する、あえてだっ! 〜事業仕分け続き〜

多分言い方にちょっと角があるからだろうけど、なぜかマスコミでたたかれる(?)ことが多い蓮舫参院議員だが、基本的に変なことは言ってない印象を受けた。むしろ組織の人員構成や予算の出所などかなり突っ込んでくる分かなり使命感をもってやっているという印象を受けた。かなり勉強していないとああいった突っ込みは不可能だと思う。どれだけ情報を集めたかはわからないが、頭が下がる。むしろ完全公開という場でああやって明確な意思表示をできる人材は大事にすべきである。安っぽい感情に流されて個人攻撃はしてはいけない。彼女に限らずネット上ではややもすると仕分け人のバックグラウンドをねちねち上げ足を取るような事例を見かけるが、本来こういった場では純粋に議論の論理性・妥当性を検証するべきである。日本ではこの点が特に政治では一番必要な分野にも関わらず、おろそかにされている気がする。


今回の仕分け人の発言で一番気になったのは”科学者の言い分など聞いても仕方がない”という、某証券アナリストの”暴言”である。詳しくは別の機会に述べたいが、たとえばIFREEの”ちきゅう”という掘削船が担っているプロジェクト(1)はIODPという国際的枠組みの中で議論されている、世界的に見ても非常に重要度の高いものである。アメリカの掘削船とかだとたとえば1000m程度しか掘れないところを日本のちきゅうだと設計上は7000m掘れて、ひょっとすると地震の発生機構などの解明につながるかもしれないという代物である。単に一国のプライドとか国益とかいう目標を超えた重要な研究で、この成果次第では世界の固体地球科学の今後の発展を大きく左右するものである。こういった計画の妥当性は当然専門家によってなされるべきだし、専門家もきちんと説明責任を果たす必要があると思う。こんかいの(多分)平先生の答弁は合格点に達していたと思う。むしろ廃止に投票した理由が不明である。スパコンのときと違って細かい予算の使途なんかも説明しているのだからそれで廃止なら議論の意味がないでしょう。


ちょっと蓮舫参院議員の発言に戻ると、たとえば”素人考えですけど”といいつつ”深部の掘削は予想外のこともおこるので今1600mのところを今後4年で7000mというのは計画として妥当なのでしょうか”、とついていたが、シンプルなりにも非常に重要な質問だったと思う。実際にそうだし、だからこそ地球科学は浅い所だけではなくてちゃんと掘削して何が起こるのかを調べなくてはいけないのである。実際に計画自体はストップしたものの、ロスアラモスでの深部高温岩体発電がそうだった。いきなり深く掘って予想外のことが起こりすぎて失敗したのである。彼女の質問こそがちきゅうが掘らなくてはならない理由、今の科学が挑戦すべきところなのである。逆に言うと7000m掘って目的の場所まで到達することだけではないのである。そこに至るまでに何が起こるのかをちゃんと見極めなくてはならないのである。

今回の騒動はNatureにも取り上げられ、世界に衝撃が走っているようです。これを機会に日本の政治・科学プロセスがより合理的なものになることを願っています。…大丈夫かなぁ???
Japanese science faces deep cuts

(1)すみません、この言い方は完全に間違いのようです。IFREEにちきゅうがらみの研究者はいますが、研究分野などはまったく独立のようです。
バブル破壊、、