Kalessin Action ― The Never Ending Endeavour ―

地震・火山専門の研究開発員のブログ。あららぎハカセ(理学)。つくばで高いところに行くモノ🛰の中身を作ってます。

話題にもならないIFREEを誰か助けてくれ① 〜事業仕分け〜

 なぜか事業仕分けにやられてしまって予算減額の憂き目にあっているIFREE。ここに所属する人たちはまだ一年ちょっとの僕でも知っているような錚々たる面子が揃っています。プレゼンではちきゅうの目的から細かい予算の使途までかなり丁寧に答えている印象を受けました。ちゃんとやっているのに半額削減か予算計上見送りはいくらなんでもひどい。
 今回の件については基本的には”素人が判断するのはおかしい”という論理は取りません。なぜなら非常に高額の予算を税金という形で科学者が使っている以上、こちら側も大きな説明責任を負っていると考えるからです。
 ”ちきゅう”というのは日本が所持している世界最大の掘削船です。IODPという国際科学掘削計画において最も重要な研究船の一つです。この計画については何も日本の科学者のみならず、世界中の科学者がその研究成果に期待を寄せている代物です。まぁ、大きいので運用費がものすごくかかるのですが、他の掘削船をはるかにしのぐ能力を持っているのは確かです。国際掘削では日本とアメリカがやはり二大勢力です。と、いっても別に喧嘩しているわけではなくて、IODPなんかではJAMSTECアメリカの研究者と一緒に会議を開くなど、お互いに重要なパートナーであることを認識しています。
  実は現在担当していただいている教授はIODPで、IFREEのディレクターと顔見知りです。そんなわけで例の事業仕分けの結果が出た翌日に救援要請メールが回ってきました。転送先をみると、僕でも震え上がる位の人がいっぱい名前を連ねていました。というか、IFREEのディレクターもその分野ではパイオニアで、間違いなく世界レベルをかなり超えている位なので、政治に振り回されるようなメールを打っている姿を想像するとなんとも言えない気分になります。

 研究者側のコメントとしてはこんなのを見つけました。というか、専門家クラスの発言でみつかるのってこれくらいです。その事実にむしろ危機感を覚えます。コメント欄は見ないで下さい。
刷新会議事業仕分け/深海ドリリング計画・地球内部ダイナミクス計画への意見
 この研究者は何冊も著作を出されている著名な方です。さすがプレートテクトニクスのトップエキスパートだけあって、いうべきことをきちんと言っています…が、事業仕分けで攻撃対象にしないといけないのはこういうスキームを作った財務省側です。対象を間違えると攻撃する意味がないです。

 賛否両論のスパコンに比べてIFREEは圧倒的に話題になっていません。彼らのこの分野における働きぶりをみるといくらなんでも可哀そうすぎる気がします。…マスコミさん、もう少し日の光を当ててやってください…。