Kalessin Action ― The Never Ending Endeavour ―

地震・火山専門の研究開発員のブログ。あららぎハカセ(理学)。つくばで高いところに行くモノ🛰の中身を作ってます。

海底に向かって撃て!!

さて、いよいよお待ちかね、海底への地震波の発射です。地震波というと聞くだけでなにやら危険な響きがありますが、波のエネルギー自体は人が感じることが出来ないくらいの小さい地震程度です。そんな小さい揺れをセンサーが感じ取って海底の神秘を解き明かす事実に僕は人類に対する畏敬の念を禁じ得ないのですが、あまり調子に乗って言葉に酔うのは科学者の態度として適切とは言えません。

エアガンを撃っている最中は基本的には僕らはモニタリングのチェックと異常があった場合の記録です。実はこうした仕事は教授によって意図的に割り当てられているのですが、それには理由があります。


船の中の長い時間は、仕事がないとかえって苦しいのです。


僕は四六時中目をキラキラさせていましたが、手持ち蓋さになってもインターネットは遅いので動画を見たりなんかも出来ません。メールチェックがせいぜいですが、それでもレスポンスが遅いので数日に一回くらいです。船の中では映画室や小さな図書室なんかもあるのですが、それでも結構ストイック感がただよいます。教授が初めて研究船に乗船したときは手に仕事をつけていなかったのでかなりきつかった模様。

きついのかたのしいのかくるしいのかよくわからない表情。いや、そうでもないか...というわけでログを交代でとるのですが、他にも仕事がありました。それは


海深データの補正


です。地震波探査には海深の正確なデータが欠かせません。あるていどおおざっぱなデータは公開されているのですが、じつはそれでは精密な探査には不十分で正確な情報は調査の度に測定して決めるのです。...が、測定するだけならいいのですが、そうは問屋がおろしません。海深というのは海底まで音を出して、それが跳ね返った時刻に基づいてプロットするのですが、揺れまくっている船だと結構データがばらつくのです。そこでどうするか。人が目で見ておかしな値を一点一点のぞいていくのです。結構単調な作業なのでこれはこれであまり長くやっていると疲れるのですが、重要な作業です。精密な科学データは非常にデリケートな情報を丁寧に処理することで科学的に意味をなす解釈が可能になるのです。


この他にも僕の場合、ちょっとした特命が下っていました。