ありふれた恐怖
食堂で共同首席研究者のW先生としばし歓談“How are you?”と聞かれ指を見せると最初は意味が分からなかったらしく、きょとんとしていたのですが、すぐに
“そりゃよくないよ。船長に診てもらったほうがいい”
ふらふらしながらメインラボへ。早速UWの学生に“…挟んだ”と話すと、面白いくらいに痛々しそうな顔をしてくれました。...痛かったのですが。出血の場所自体はやや小規模のようにみえたので人差し指ぬきでタイピングしたりしていたのですが、結局痛みはその後も続き、あまりに痛くて翌日シフト最初の何時間かはベッドで死んでいました。
次の日の晩、船医の船長さんに診てもらうことになりました。船の中には薬が一通りと簡単に傷を縫ったりはできる位にはなっているのです。そこで出血性の傷の痛みどめをもらいました。
船長“この手の傷は冷やすしかない。あと、アスピリン*1は出血がひどくなるからだめ。”
どうやら挟んでしまった爪は抜け落ちる運命のようです。と、いうか指挟んだ人多いぞ!船をうろちょろしているとことあるごとに
"穴あけるといいよ、こんな風に。"
"彼も指挟んだのよ"
"僕今指生えてきてるんだ"
確認しただけでも4人。…おい( ゚д゚ )
どうやら僕のアクシデントは起伏の少ない日常への貴重な刺激となっていたようです。船中でこのマヌけな日本人学生のことを話していて心配してくれていました。なんと恥ずかしい、というか、
すみませんでしたm(_ _)m
教授の嫁さんの○ミリ―と食堂で一緒に昼飯食べていると、こともあろうに彼女も
“私も何年か前の航海で手を挟んで骨がちょっと曲がっちゃったのよ。若い人は完全に治るんでしょうけどね…”
と、遠い目を。後日教授の話だと、彼女は以前にも航海中手を怪我して彼に手当てしてもらったとのことでした*2。