Kalessin Action ― The Never Ending Endeavour ―

地震・火山専門の研究開発員のブログ。あららぎハカセ(理学)。つくばで高いところに行くモノ🛰の中身を作ってます。

東北地方太平洋沖の地震について

まずは亡くなられた方に心から哀悼の意を表すとともに、未だに行方が分からなくなっている大勢の方の安否が一刻も早く判明することを願います。また、被災されている方々にもお見舞い申し上げます。


以降の文章についてご意見などありましたら随時受け付けます。


1)僕の場合

当時僕は翌日の発表の準備をしていました。PCで資料などの確認をしていたのですが、その際Twitterをつけっぱなしにしていました。当然地震発生直後には揺れたという書き込みがかなりありました。その時点で地震がかなり大きいものであることは容易に予測がつきました。速報のマグニチュードはM7.8、すぐに訂正されてM7.9からM8.4。USGSでは気象庁の速報よりすこし遅れてM8.8、こちらも30分位で訂正されて8.9。この時点で被害の大きさ、特に津波による被害が予測されたので血の気が引きました。
当然ですが地震直後は被害などの情報自体は入ってこないのでそのまま就寝。翌朝目覚めて確認して一番最初にみたのが気仙沼の火災、そして千葉の製油所の爆発でした。あれほど衝撃的な映像は兵庫県南部地震以来ですが、結局、そうした映像から推察できるより状況が随分悪いということが分かってきました。

気象庁によって命名されたこの地震の名前は


平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震
The 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake



出来れば被害は当初の発表程度で済んで欲しかったのが本音ですが、残念ながら現在にいたるまで被害の全容が把握されていない、名実共に戦後最悪の自然災害になったというのは周知のとおりです。


2)地震について


地震が発生した場合、どの程度断層が動いたのかは地震データを解析することで分かります。今回の地震の断層規模は500km×200km、地図上で見てみるとほぼ東北沖全体の沈み込み帯が動いているというのがわかります。


今回の地震は場所自体は"日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震"というカテゴリーでリスク評価自体はなされていました。
http://www.bousai.go.jp/5jishin/index.html
また、過去数度に渡る地震明治三陸沖地震昭和三陸沖地震)もしくは津波チリ地震による)による被害を受けていることから、防災意識が非常に高い自治体が多かったようです。


以上の事実や、古いデータの解析から地震自体が起こることはほぼ間違いないと考えられていました。最近の研究ではGPSの観測からある程度歪が溜まっていることが指摘されていました。さらに、地質の専門家によって、過去の地層から規模の大きい津波の危険性が推察され、見直しを行うところだったようです。



しかしながら、以上のリスク評価がこのような事態がこれほどまでに切迫していることまでは、予見できませんでした。地震自体は予測されていても、それが太平洋プレートの沈み込み全域に及ぶような破壊をもたらすものでありうることは、完全に想定の範囲外だったのです。


地震後、プレートの境界中心に余震活動が非常に活発になっています。規模自体もM5を超える大きなものでした。M9の地震は世界でも今回の地震を含めて5例しかありませんが、日本列島の特に東北地方が大きく動いていることから、地殻が不安定になっていることは間違いないようです。今後も不測の事態が予想されます。


余震の規模や期間についてどの程度なのかという疑問を持たれる方が多いようですが、現状見通しは不明です。一応
1) 余震の数の原則は指数関数的に減っていく
2) マグニチュードに応じた数も大きい地震ほど減っていく
ということはわかっていますが(詳しくは気象庁のサイト参照)、いずれも大雑把な見積もりです。また、"どの程度のマグニチュード地震が時期的にどう分布するのか"(つまり1と2)は、全くわかりません。数ヵ月後に一回り小さいマグニチュード(といっても8-7)位が発生することも十分起こりえます。

現状気象庁が公開しているデータは地震発生直後までのようなのですが、数日間のデータではわかりません。地震の数の減衰も、ある程度丸めてわかるというものですので、ある日突然数が増えたりすることもあります。気象庁は今後しばらくは余震への警戒を呼びかけています。


既にみなさんTwitterで情報自体はご存知かと思いますが、今回の地震関連の科学系の情報と災害関連の情報のインターネット上の情報のリンクを貼っておきます。科学系では東大地震研のものがまとまっています。ほしい情報がある場合はまとめサイトなどを見てまわるといいようです。


だいちの画像
http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/gallery/lib_data/j3disaster.htm
データ 気象庁ページより
http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/weekly_map/japan/weekly_list.shtml
GPSデータ
http://www.gsi.go.jp/cais/topic110313-index.html
余震のアニメーション
http://www.atdot.net/~ko1/js/gm4.html
津波のアニメーション
http://www.youtube.com/user/NOAAPMEL?feature=mhum#p/c/3/PBZGH3yieLc
USGSによる本震、余震マップ
http://1.usa.gov/fu19lG

震源リスト(一週間のみ)
http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/recenteqsww/Quakes/quakes_big.php


東大地震アウトリーチ研究室
一般的なまとめの他、津波のアニメーションなどがまとめられています。地震波形のダウンロードなどもできます。
http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/eqvolc/201103_tohoku/


京都大学 クーロン応力の変化などが見れます。
http://www.rcep.dpri.kyoto-u.ac.jp/events/110311tohoku/110311tohoku.html#chubu
波形など
http://sms.dpri.kyoto-u.ac.jp/k-asano/110311/20110311array1.html
筑波大学 八木先生による解析
http://www.geol.tsukuba.ac.jp/~yagi-y/EQ/Tohoku/
JAMSTECによる
http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/maritec/donet/tohoku1103_2/
ハーバード大による解析
http://seismology.harvard.edu/index_jpn.html
火山性地震の増加について(東京工業大学
http://www.onken.odawara.kanagawa.jp/modules/x_topics/article.php?articleid=34
今回の地震の簡単な総括
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110311/dst11031122420213-n1.htm
今後の見通しについて
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110312-OYT1T00213.htm
http://s.nikkei.com/eNgS6f
他の地域の地震への影響
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103120168.html?ref=recc

予測、評価
Nature Geoscienceに掲載された東北地方のひずみ
http://www.nature.com/ngeo/journal/v2/n2/full/ngeo421.html
一般向けのまとめ
http://smc-japan.org/?p=959

専門家によるリンクまとめ。各種データへのアクセスが可能。
http://red.ap.teacup.com/terumitsubeya06/1036.html
専門家による震源断層のマップ
http://bit.ly/fiwR1O

3)被害状況

今回、兵庫県南部地震のような建物に直接ダメージを与える揺れではなかったようです。そのぶん津波の被害が殆どといってもいいような状況になっています。


海外メディアによる写真
http://www.boston.com/bigpicture/2011/03/massive_earthquake_hits_japan.html
被害情報まとめサイト、人探しの掲示板などへのアクセスもあります。
http://sinsai.info/ushahidi/main
女川周辺の状況
http://ckbook.client.jp/onagawa.html

4)その他の情報
朝日新聞のアカウント(http://www.twitter.com/asahi)が頻繁に必要な情報を流してくれているようです。

安全の心がまえ
http://rescuenow.nifty.com/special/jishin_ni_sonaete/sonae10.htm
警視庁によるまとめ
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/jisin/tokiha.htm
消防庁によるまとめ
http://www.fdma.go.jp/bousai_manual/index.html
Facebookに記載されているガイド
http://www.facebook.com/note.php?created&¬e_id=201976789829645
関東地区向け
http://d.hatena.ne.jp/next49/20110312/p1

NHK twitter上で信頼できるソースの一つ
http://www.twitter.com/NHK_PR
テレビが見れない人のために
http://gigazine.net/news/20110313_ustream_tv/
情報・支援先まとめ。各テレビ局のUSTへのリンクも。
http://www.onenessproject.jp/t/
都道府県別の災害救援情報まとめ
http://savejapan.simone-inc.com/
がばったー 自治体のtwitterアカウント集
http://govtter.openlabs.go.jp/tohoku/

電話が通じにくい場合
緊急用ダイヤル:緊急用ダイヤルで伝言を残す171+1+電話番号 緊急用ダイヤルで伝言を再生171+2+電話番号

福島県のサイト 避難所や医療機関のまとめあり。
http://bit.ly/hLbc7a
いわて防災情報ポータル
http://www.pref.iwate.jp/~bousai/

Evernoteによる役に立つ情報のまとめ
http://www.evernote.com/pub/sinman/saigai
Facebookにおける東北沖大震災のページ
http://www.facebook.com/jishin.info?sk=wall

災害関連の情報提供を行っている放送局
http://www3.nhk.or.jp/saigai/jishin/

a. 避難所等

宮城県の避難所
http://www.pref.miyagi.jp/kikitaisaku/wagayade/hinan_bashoshin/hinan_top.htm
東京の給水情報
http://bit.ly/dUu2RE
Googleによるまとめ
http://www.google.com/intl/ja/crisisresponse/japanquake2011_shelter.html
水、炊き出しなどの情報。交通機関まとめサイトへの情報もあります
http://okguide.okwave.jp/touch/guides/40782
主に仙台や福島県の炊き出し情報
http://bit.ly/etbWl5
Google Map版
http://j.mp/hkqf4H

b.まとめサイト
解説付き。リクナビによる。
http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=001854
wiki。網羅的。
http://www46.atwiki.jp/earthquakematome/
環境団体によるまとめ
http://www.ecozzeria.jp/shimbun/news/2011/03/12/earthquake2011_tohoku.html
茨城関連の情報
http://saveibaraki.at-ninja.jp/saveibaraki.html

在日外国人向けの多言語災害マニュアル
Multilingual guide of the earthquake nip0.wordpress.com

Washington post による
http://www.washingtonpost.com/wp-srv/nation/japan-earthquake-resources.html?hpid=topnews

c.安否確認

Googleによるまとめサイト。各種情報がそろっている他、人探しも可能。NTT, KDDI, SoftBankの災害掲示板へのリンクもあります。
http://www.google.co.jp/intl/ja/crisisresponse/japanquake2011.html

twitterによる安否確認サイト。都道府県別などで検索が可能。
http://machi.userlocal.jp/


宮城県警察
宮城県内で行方不明になっている人に対して警察で対応してくれるようです。24時間対応だそうです。電話番号は→ 022−221−2000
d.ハッシュドタグ

地震関連ハッシュタグtwitter社による)
#jishin: 地震一般に関する情報 
#j_j_helpme: 救助要請
#hinan: 避難 
#anpi : 安否確認 
#311care: 医療系被災者支援情報

防災関連のアカウントまとめ
https://spreadsheets.google.com/ccc?authkey=CIDbhJ8J&hl=en&key=thutSnL_0XSk22zHz9rA69Q&hl=en&authkey=CIDbhJ8J#gid=0

e. twitterなど


17言語による地震情報
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/english/radio/program/16lang.html
外国語による災害情報まとめ
http://imperium-donuzium.org/
防災関係のアカウントまとめ
http://saigai-info.jp/201103eq/

f. 医療機関についての情報

受け入れ先病院一覧
http://saigaitaisaku.r-cms.biz/location_list/
透析が可能な病院のリスト
http://www.saigai-touseki.net/sendsdata/total.php

海での災害では海上保安庁(118)へ連絡するといいようです。Twitter等でも随時情報が出ているようなので活用するといいかもしれません。


寄付
赤十字やネット上での寄付もできます。暫くは自衛隊などのプロでないと現地には近づけないようなので、金銭的な援助が一番無難なようです。個人による小口の救援物資は自治体を通じて受け付けています。献血などは現地への供給体制が整うなどの様子をみてやったほうがよいとのことです。

Googleによるまとめ
http://sites.google.com/site/quake20110311jp/bokin


アメリカの赤十字AmazonAppleからも可能です。日本の赤十字もまもなく義援金の受付を始めると思います。
http://www.redcross.org/


ホリエモンや為末さんも参加。
http://justgiving.jp/c/1676


KDDI義援金サイト(携帯)
www.gienkin.ezweb.ne.jp


6)おわりに

今回の地震は規模が世界的にみても史上最大規模なので余震などもかなり強いものが多発しています。メディアの関心は原発が中心ですが、規模の大きい余震の危険性もまだ十分にあります。暫くは警戒が必要だと思います。被災された方々は、これから長い戦いが始まります。一刻も皆さんの生活が元に戻ることを願います。