Kalessin Action ― The Never Ending Endeavour ―

地震・火山専門の研究開発員のブログ。あららぎハカセ(理学)。つくばで高いところに行くモノ🛰の中身を作ってます。

もうやめて!日本の地熱の国家予算とライフはゼロよ!

※2011/3/22 追記あり
それはあまりにも突然でした。


経済産業省の独自仕分けにより、地熱発電の開発補助等が打ち切り


 ぱっと見た限り、むしろまだ切るものがあったのかというのが本音でした。なぜなら10年以上前から地熱開発の国家予算は減少の一途をたどり、既に開発援助は打ち切られていたからです。残っていたのはわずかな掘削などの調査費。しかし、調べていくうちに何が起ったのかを悟りました。


この予算は、残されていた地熱予算の、ほぼ全て


どういうことか、日本の地熱の補助についてお話したいと思います。

地熱発電に関する研究会中間報告について 資源エネルギー庁 13pより


 現在の地熱の補助については


1)調査段階への補助
2)建設及び持続的開発時の補助


 の二通りあります。1)はa)地熱開発促進調査事業に、2)は b)地熱発電開発事業に相当し、これらが通常の地熱発電への補助となります。この他にも数年前から新エネルギー導入促進委託費という予算が数億円程度ついている模様です。表には水色で他の予算が書かれていますが、これはバイナリー発電という中規模の発電施設への補助で、通常の地熱発電は除外されています。
 今回経済産業省の独自仕分けの対象になったのは計20億円程度のこの予算です。事実上日本の地熱開発促進の予算の殆んど全てです。最初は地熱開発促進調査事業等とあったのでa)だけかと思っていたのですが、a)もb)も“中小水力・地熱発電開発等補助金”の名目で予算化されており、それが見直しということになっております。
 ここ数年脚光を浴びている太陽光、風力発電と違い地熱エネルギーは温泉業界の反対もあり、長らく不遇をかこってきました。今回削減が決定したのは調査、建設にかかわる予算ですが、研究開発に関する予算は既に7年前に打ち切られています。かつては30人ほどの体制であった産業総合研究所の地熱グループも、現在5人です。なんと。



パラダイム転換としての地熱開発推進 村岡洋文 5p


 現時点ではまだ廃止は決定ではありません。また、今回の仕分けの目的はNEDOなどの中抜き法人に丸投げされている公共事業をあぶり出し、人件費を圧縮することが目的である訳ですが、国の予算が逼迫している現状、再度予算をあてられたとしても増額は厳しいでしょう。もし仮に廃止された場合、日本の地熱開発の終焉を意味します。往時は世界に誇るインセンティブを持っていた日本の地熱ですが、こんなあっけない形で死刑宣告が下されるとは夢想だにしませんでした。


.......どうしてこうなった





追記
経済産業省の平成22年度予算をみてみると昨年度21億だったものが、20億程度になっている模様。減額はされていますが、実際の金額自体は小幅でした。
出典:平成22粘度予算案事項別表エネルギー対策特別会計(エネルギー受給勘定)