Kalessin Action ― The Never Ending Endeavour ―

地震・火山専門の研究開発員のブログ。あららぎハカセ(理学)。つくばで高いところに行くモノ🛰の中身を作ってます。

RIDGE2000 -熱水系でまわる世界-

先日教授の計らいでRIDGE2000という、”海嶺”とよばれるプレートが出来ている部分を中心に活動している研究者の集まりに参加しました。宿泊費はなんとRIDGE2000の負担です。RIDGE2000のミーティングでは、専門誌の特集号の企画や、レビューの執筆の段取り等が議論されていました。なんとこれに大学院生も加わることができるのです。
今回のミーティングは二通りの会議があって、一つは海底の熱関係の研究の集まり、もう一つは、ISS (Integrated Studies Site) というUSAの海嶺の研究者が集中的に研究を行っているJuan de Fuca Ridge, East Pacific Rise, そしてEastern Lau Spreading Centerの各場所についての会議です。

ISSの方は結構な数(30人位?)なのですが、もう一つのほうはかなり細かく分かれているのもあって10人ちょっとで話し合われます。会議室を覗いて、正直引きました。10人位だったら黙りこくっている訳にはいきません。
ミーティング参加の際、僕のお隣に座った人は


Robert Lowell先生
http://www.geophys.geos.vt.edu/rlowell/


海底熱水系をやっている人なら分かると思いますが(あまりいらっしゃらないと思いますが)、海底熱水系のモデリングを長年研究されている方です。第一人者といって差し支えないと思います。自己紹介の時名前を聞いて、面食らいました。論文でしか名前を見ていない人が真横にいたらびっくりします。ミーティング後、名刺交換をお願いしました。USAでは名刺は持っている人と持っていない人がいます。ただ、留学生の場合やっぱり持っていておいた方が自己紹介のときとかだと、特に名前の発音とか聞き返される事が多いので、メリットが大きいと思います。ちなみに僕の名刺は自分でパソコンで作っています。


肝心の会議の内容なのですが、自分としては火山(あるいはマグマ周辺)の熱水系の論文は結構読んでいました。もちろん海洋物理の研究者が良くやっているというのは把握していたのですが、自分の周囲にいた人は自分が読んでいた論文と深く関わっている人が大半で、しかも最新の動向もとい、“今後の動向”まで正確に把握していたこともあり、最前線の空気がひしひしと伝わり非常に刺激になった話し合いでした。


今回のミーティングでの衝撃は、こうした形で学問分野の活動を話し合う場がもうけられているという事、しかもそれに大学院生も参加できたことでしょうか。日本だと結構みんな遠慮するので、なかなか学生までこうした話し合いに参加というのは難しいと思うのですが、USAの文化風土を背景としてこうした話し合いが可能になっていたことは貴重な体験でした。
また、日本ではかなり少数派の“熱水系”というテーマが、学問分野全体の方向性として共有されている事は非常に興味深かったです。一応火山の熱水系で日本地球惑星科学連合ではセッションがもうけられていますが、かなり規模は小さいです。留学先を決める際には熱水系に関心のある研究者を見つけるのに非常に苦労したのですが、こういった形でかなり活発に研究がなされているのを見る事が出来たのは非常に大きかったです。


ここに来る前はあまり思いもよらなかったのですが、割と早い段階からこうした形でアメリカの研究者とのささやかなコネクション(?)を作る事が出来るのはメリットが大きいと思いました。願わくば年末までに自分の研究でもしっかりとした解析結果がでるといいのですが。。。


残念なことにミーティングの来年の予算は現在不明な段階で、来年こうした形で会議があるかは分からないのですが、機会があればまた参加したいです。